バカボット

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真性引き篭もりhankakueisuuは単なるネットウォッチャーではない

こういう記事が目に入った。

 

d.hatena.ne.jp

自分の真性引き篭もりへの印象というのは「ブログ界隈で盛り上がっている話題をうまく取り上げて面白いことを書く人」であって、mk2さんの言うような「悲鳴みたいな文章」や、シロクマさんが言う「情念が過剰」という印象は持ってなかった。

 

2011年に書かれたid:kanoseの記事及び反応を見ると、真性引き篭もりhankakueisuuは「情念を込めてネットの話題を書き殴る人」だと周りに思われてるらしい。

 

真性引き篭もり: 普通の女子大生は、Google+で「日本一」になんかなっちゃいない。

 

坂口綾優がGoogle+でトップに立った時の話。
真性引き篭もりhankakueisuuが岡田有花に異論を唱えた記事が、最もブックマーク数を得ている。
1000以上のブックマークを、「真性引き篭もり」が獲得しているのはこの記事のみ。
他は、著名なブロガーへの批判や、はてなへ言及した記事が人気な模様。

 


真性引き篭もり」でPVを集めている記事を読めば、確かに真性引き篭もりhankakueisuuを「ネットで人気の話題を面白おかしく語れる人」と感じるのも無理はない。

真性引き篭もりの活躍をテキストサイト時代の話にしないで!」では、2005年から活動する人はブログ世代ではないか?というネット史の話が中心。
彼がどういう人物かは主題ではないのだろう。

 

 id:Fuetaro 久しぶりに村長が生き生きとしている。やっぱこういうどうでもいい内容に粘着質で無駄に長い文章を書いてくれないとらしくないよな!


ある産業のことを考えると、実はどうでもよくないのだ。


さて、真性引き篭もりhankakueisuuへの人物評は、軒並みおかしい。
おかしいというか、本質的ではない。
それを説明する前に、日本のeスポーツが今、いかに発展しているかを話す必要がある。

 

 

国内のeスポーツ産業が、近年めざましい発展を遂げている。
プロゲーマーの文化を紹介する際、今まで皆が出羽守になる必要があった。


「アメリカでは、League of LegendsのプロゲーマーにP1ビザ(アスリート用の査証)が発行されてます」

「韓国では、ソウルのワールドカップスタジアムに4万人の観客を集めました」

「イギリスでは、公共放送がWCS(LoLの世界大会)をテレビ中継し始めました」

 

最近は、そんな手法を取らなくてもよくなってきた。

 

 

まず、スポンサーの数が段違いに増えた。
LJ LEAGUEという、国内で開催されるLoLのプロリーグがある。
そのリーグ戦のスポンサーは、ロジクールを筆頭に続々と名乗りあげている。
NVIDIAVプリカ、G-Tune、インテルiiyama
株式会社SANKOがeスポーツ事業に乗り出してからは、随分と出資者が増えた。

ゲーミングデバイスを扱ってない企業も、スポンサーになり始めている。
つい先日も、飲料メーカーのレッドブルがボンちゃん(格闘ゲーマー)と契約し、格ゲー業界に衝撃が走っていた。 
今年の夏に、格闘ゲーマーがスポンサー周りで炎上した事件があったので、レッドブルアスリート誕生は喜ばしい朗報だった。

 

 

給与制プロチームのDetonatioNは、近頃乗りに乗っている。
やたらスポンサーを獲得してくるDetonatioNが、医療メーカーのニデックと提携したのも最近だ。
前はDetFM(LoL専門)にしか給料は支払われてなかったが、今年の9月からチーム全体に支払われるようになった。

 

とにかく、景気の良い話が後を絶たないのである。

 

まだ海外の企業に頼ってる感は否めないものの、プロゲーマーは続々誕生している。
格ゲーのプロが主流だった一昔前と異なり、LoLのプロも生まれる土壌が出来つつある。
eスポーツ市場に目を付けた企業が参入するも、大会を台無しにしてLoLシーンを炎上させてく事例も起きてるにせよ、金と人を動かせば活気が出る。
今物議を醸してるモンストのeスポーツ参入も、悪くない。

 

 

同時に、プレイヤーも増えている。
しかも、人口増加に繋がる朗報がLoLシーンに来た。
東京ゲームショウ2015で、League of Legendsの日本サービスが発表。
6年前から渇望されてた日本サーバーである。

日本に来れば、英語に難色を示していた層の新規が見込める。
MOBA業界では歓喜の声が上がっていた。
今までは始まってすらいなかったが、これからである。

 


競技ゲームの大会も増えている。
オフラインとオンラインの大会は開催が途切れない。
試合の中継は、Twitchとニコニコ生放送の両者で供給され続け、飽和状態にある。

 

何より増加しているのは、メディアの露出量。
ビートたけしのTVタックル」と「武井壮しらべ」にプロゲーマーが出演したのは記憶に新しい。
しかも、武井壮はeスポーツに参戦するらしい。
強力な助っ人である。

TOKYO MXの「eスポーツMaX」だけでなく、地上波でプロゲーマー特集が組まれるのは最早珍しくない。
ウメハラ、ももち、LGraNは積極的にラジオへ出演している。
日本経済新聞は急成長の産業としてeスポーツを、Numberは新興のスポーツとしてeスポーツを特集した。


 

枚挙に暇がない。
2000年代からは比較にならない程、eスポーツは好転している。
元々、世界196か国の中でも、日本ほどeスポーツが育ちやすい国はない。
どうもこの辺を勘違いしてる連中が多い。

しかし成長中とは言え、明らかに不足している分野がある。
それは「eスポーツを外に語れる人間」だ。

 

観客も居る。
スポンサーも居る。 
運営も居る。
プレイヤーも居る。
だが、優秀な語り手が居ない。
勿論、情報を伝える優秀な書き手なら、eスポーツ業界でも不足してない。

例えば、ファミ通のミス・ユースケとバーボン津川。
例えば、AKIBA PC Hotline!の佐藤カフジ。
例えば、4Gamerのハメコ。。

コンピュータゲームのメディア以外なら、Number Webの八木葱が良い記事を書いてる。
Numberは肉体スポーツを扱うメディアだけあって、競技への理解が深い。
10年前からNegitaku.orgでFPSニュースを書いてるYossyも外せない。
特にAKIBA PC Hotline!が最近強い。
佐藤カフジに加えて、eスポーツライターのスイニャンまで執筆してる。

 

要は、業界の最新情報を伝えられる人材は揃ってる。
では何が足りないのか?

 

「情念を込めてeスポーツを語れる人間」だ。

 

eスポーツは人を熱狂させる。
人々が熱狂した結果、経済が活性化する。
その様子を語ったり、論じたりする人が現れる。
しかしそれらの多くは失敗に終わる。
皆、熱狂の結果を語ることは出来ても、熱狂そのものを語れないからだ。


人々が熱狂した結果、LoLは4万人の観客を集めた。
人々が熱狂した結果、Dota2は22億円の賞金総額に膨れ上がった。
海外のeスポーツの利益は、2015年で2億7800万ドルになった。

eスポーツを論じようとすると、熱狂の結果たる賞金や競技人口を語ってしまう。
逆に、プレイヤー目線で語ろうとすると、一般人には意味が通じなくなる。

 

「ももち相手に0F目押し6回決めて優勝した」

 

格闘ゲーマーならこれだけで、ウメハラが凄いプレーをしたのが分かる。
しかし格ゲーを知らなければ「0F」や「目押し」の何が凄いのか分からない。
ももちを倒すのがどれだけ難しいのかも、伝わらない。


でもゲーマー同士なら伝わってしまう。
ゲーマーが語るゲーマーの素晴らしさは、外に伝わらない。
専門用語が並んだマニアックな解説になりがち。

 

かといって、周辺情報だけ伝えても、本質は伝わらない。

ウメハラが凄いのは、フェイスブックの本社に招待されたからではない。
ウメハラが凄いのは、ギネスブックに登録されたからでもない。

それらは、あくまで客を熱狂させた結果でしかない。
だが、熱狂の本質をかみ砕いて説明するのは難しい。
だから周辺情報を伝えるしかない。

 

よって「LoLの賞金は1億円!」「Dota2の賞金は22億円!」というフレーズが飛び交うことになる。
飛び交い過ぎれば、その手の宣伝文句は「アフィリエイトで月収100万円!」並の胡散臭さが漂い始める。

 

 

何故Dota2は賞金総額22億円なのか?

eスポーツ業界の仕組みを分かりやすく説明出来る人は、案外居ない。

仮に説明出来たとしても、単に事実と理屈を並べた文章であれば、退屈だ。
外の人達に読ませるには情念が必要。
冷めた業界研究ではなく、情念を以てeスポーツを語る文章が求められている。

 

本当に致命的なのだ。
eスポーツ業界には、熱狂を伝える技量を持った書き手が居ない。
情報を正確に伝えられる書き手なら居る。
必要なのは記者ではなく、作家だ。
ゲーマーの物語を紡げる書き手。

 

 

「小説家になろう」を漁っても、図書館を探しても、書店を回っても、まるで見付からない。
文学フリマコミックマーケットにでも居るのか?
どいつもこいつも、作品としてコンピュータゲームを消費している。

 
「小説家になろう」では、ゲーマーは異世界に飛んで行って話にならない。
FPSや格ゲーを題材にした意欲作もあった。
やはり、競技ゲームを描写する困難さを克服出来ていなかった。

 

 

こんな話もある。

blog.livedoor.jp


お話にならない。
コンピュータゲームが題材の作品は、どうしてこう「身内でテレビゲームを"遊ぶ"」ものに流れていくのか。
「ソリッド・ファイター」というゲーマー小説があるらしいので、今度探してみるが、望みは薄い。

 

 

 

 

 

 1990年代に、ゲーマーの物語を紡げる書き手は、一人居た。

 大塚ギチである。

 

羽田のなかで推測とモーションがひとつの絵となって交わって具現化する。
予想通りだ――そう思ったときには羽田の指先はインターフェースに正確な指示を与えて、すでに篠原のしゃがみパンチを下段ガードでかわしていた。
次は投げがくる――羽田の経験からひとつ答えが浮かび上がる。
信じた、自分を信じた、自分だけを信じていた。
続けざまにくるこの攻撃をモーションから見切ることはできない。
自分だけを信じるほかないのだ、次に来るのは投げだ。
羽田はそう信じ、投げをかわすためにしゃがみガードを続けた。
しかし――。

 
上記は大塚ギチの著作「TOKYOHEAD RE:MASTERED」の一節。
90年代から既に、eスポーツ作家は存在する。
大塚ギチバーチャファイターを、ゲーマーに焦点を当てながら競技として描き切った。
商業作家に、熱狂の本質を抉れる書き手は、確かに居た。

 

 

 

今の大塚ギチに、昔の姿はない。

bylines.news.yahoo.co.jp

bylines.news.yahoo.co.jp


 

悪いが、才能の浪費としか思えない。

大塚ギチはバーチャ鉄人を書き終えた後、新作は出していない。
トウキョウヘッドの再編集版を出してはいるが、現代の競技シーンは書かない様だ。
バーチャファイター3(1996年)以降の状況を全く知らないのだと、トウキョウヘッドの最新版で話してる。
バーチャファイターの新作が5になってるのも、2013年の新宿で初めて知ったらしい。

EVO2014に来ていた辺り、格闘ゲームへの興味は失ってない様子。
それにしたって、競技ゲームで追随を許さない作家が、高田馬場のゲーセンを語ってる場合か?

 

話は少し変わって

 

 

林田貴光は、昔は優秀なゲーセン店員だったのだろうが、読解力は残念らしい。
尾崎豊っぽいとは何なのか。
小説から自己陶酔の臭いがするのか?
「世間から理解されないゲーマーの俺ら」というテイストではないはず。
むしろ、情念が入りつつも事実を客観的に記すタイプ。

演出家の上田誠大塚ギチを「マクロ的な視点とミクロ的な視点が上手く行き来する、村上龍みたいな作家」と評す。
ゲーマー小説を村上龍に例えるのは不適当に見えるが、バーチャシーンを俯瞰しながらも細部の描写が熱を帯びてるのは確か。


 

 

プロスポーツの格ゲーが興隆している現在。
他に対抗馬が居ないのに、語る対象がミカドなのが何とも言えない。

本人は楽しいのだろう、ミカドのゲーセンが。
ミカド事件簿とか餓狼SPの同窓会とか、ミカドの配信に大塚ギチはよく出演しているし、よく喋ってもいる。
大塚ギチはそこで才能を費やす様である。

 



 

 

ARTIFACT −人工事実− : 90年代のリアル−大塚ギチ

中でも気に入っているのが大塚ギチだ。この人は今のゲームシーンをプレイヤー側から描けば一番のライターといえるだろう。

 

間違いない。
問題は90年代以降、大塚ギチに匹敵する書き手が一人しか見付からない点。
その一人が、真性引き篭もりhankakueisuuである。

 

真性引き篭もり: あるmodの誕生と、あるeSportsシーンの死。

 

真性引き篭もり: 空を自由に飛ぶために必要なものと、少しの誇張。

 

唄になるもの, [転載]DAICHIという夢、夢の終わり。

 

 

知らない人間からすれば、eスポーツ業界は仕組みが謎で、しかし大金はやたら動く怪しい世界に見えかねない。
だから、外に向けて仕組みを語れる人が必要。

 

真性引き篭もり: なぜdota2大会の賞金は22億円で、LoL大会の賞金は僅かに2億6300万円なのか。

 

こういう芸当は、eスポーツに詳しい人でも中々出来ない。

 

 

id:kbfmst 商売としてもLoLが圧勝(年間売上約7倍)してるし、Riotは大会の賞金ではなくプロチームへの補助金という形で大金をコミュニティに還元してる。なんとも的外れ。

 

anond.hatelabo.jp

 

この真性引きこもりってのは何ではてなーに人気なの?何か過去のいきさつとか背景があるの?
的外れなことを冗長な悪文でだらだらと書いてるだけなのに名文とか持ち上げられてるけど。

 

anond.hatelabo.jp

 

はてなーの皆さんは毎回こいつの的外れな戯言に関心しててアレだなあ。

LoLが世界大会に高額の賞金を付けないのは単にE-sports運営におけるスタンスの違い。LoLは大会賞金ではなく別の形でお金を出してる。
運営元のRiot Gameは年一回の大会で賞金稼ぎたちが賞金を争うのではなく、メジャースポーツと同じように毎週リーグ戦が行われる環境を作ろうとしている。

 

指摘はごもっともなのだが、大した問題ではない。
確かに、真性引き篭もりhankakueisuuの文章には誇張がよく入る。

 

https://pbs.twimg.com/media/CLevJajUYAAxVLZ.jpg:large 

売り上げで、LoLはDota2を大いに上回っている。
両者はユーザーへの還元方法が異なるというだけの話。
大事なのは、記述が正確かどうかではない。
読ませるかどうかだ。
真性引き篭もりhankakuesiuuの文章は長いが、読ませるのである。

 

真性引き篭もりhankakueisuuは、Dota2の課金システムを「ださい、ださくない」というユニークな観点で解説した。
他にも、真性引き篭もりhankakueisuuが語るゲーマー史には、悲鳴じみた美辞麗句が用いられてる。
外部に波及させるには、そういうスパイスが大事だということ。
淡々と事実を並べたeスポーツ論は、有用だとしても退屈だ。

 

 

真性引き篭もりhankakueisuuの役割、持ち味は、門外漢を惹きつける文章。
拡散の可能性があるゲーマー史は、まずお目にかかれない。
では、プロゲーマーにファンが少ないのか?というと、そうではない。

大会終了後に「ウメハラ凄かったな」とつぶやく人は大量に居るが、まとまった長文でプロゲーマーの活躍を総括する書き手が居ない。
それもただの長文では駄目だ。
シーンを俯瞰して、ゲーマー目線でテクニックを語れなければ、一般化出来ない。

 


将棋にしろテニスにしろボクシングにしろ、選手の技能をストーリーに変換させられる語り手が、普及に大きく貢献してきた。
誰にでも出来る芸当ではない。
競技を語るのは困難を極める。
実戦経験と知識の両方を欠かさず、かつマニアックにならないよう注意しなければならない。

 

それが出来るから、真性引き篭もりhankakueisuuは特異なのだ。

eスポーツの文章は大量に読んできた。
真性引き篭もりhankakueisuuの水準に達するものはなかったし、ないからプロゲーマー養成学校が必要になる。

 

 

 

結論は、真性引き篭もりhankakueisuuは、国内で唯一の「eスポーツ作家」である。

 

大塚ギチ(1995年)→真性引き篭もりhankakueisuu(2005年)→???
2010年代に三人目が出てくるかは予想出来ない。
大塚ギチが居なくなった今、真性引き篭もりhankakueisuuの重要度は年を重ねる毎に高まってる。

 

 

id:kanose
ゲームの話は自分語りでもあるので、情念を感じるが、それ以外のネット関連の話題への言及は情念とは違う、それこそhankakuさんが「誰がブログを殺すのか。」で書いている「共同体」への利益への貢献を感じていた。

 

テレビゲームを作品として語る奴は「あのソフト(時代)が面白かった」と、自分の思い出が入り込みがち。
ただ、真性引き篭もりhankakueisuuが特異なのは、「他人語り」に長けている所。
海外のプロゲーマーを語っている所だ。
韓国eスポーツを実際に見た経験があり、大塚ギチをよく知る身なら、分かってはいるだろうが。

 

id:p_shirokuma
私は、hankakueisuuさんの文章には情念が籠もっていると現在でも思っています。正確には「情念が籠もっているhankakueisuuさんの文章を発見して胸を打たれたことがp_shirokumaには一度ならずありました」とでも書けば良いでしょうか。

 

人をどう捉えるかは各自の勝手。
大塚ギチを「サブカルの人」と捉えるか、「アニメ評論の人」と捉えるか、「小説の装丁を手掛ける人」と捉えるかは自由。 

 

 

ただやはり、本質はeスポーツライターだと考える。
インターネットの出来事を語り尽せる人間なら、ごまんと居る。
こっちはそっちと違って、代わりがきかない。

情念と悲鳴を以てプロゲーマーを語れるのは、あのブロガー以外に確認出来ない。
こちらが知らないだけ、となれば望ましいのだが。